ROI Plastic Surgery
アンチエイジング2026年7月28日·読了 約7分

ディープレーン vs SMASリフト — 「どの層を引き上げるか」で結果が決まる

✍️ 執筆・監修 — ユ・ヨンギ院長(形成外科専門医)

「ディープレーンの方がいいと聞きました」— カウンセリングでよく受ける質問です。しかし術式の名前より大切なのは、その名前が指す構造です。フェイスリフトの結果は「どの層に入り、何を解除してから引き上げるか」で決まります。執刀医の目線でその違いをご説明します。

リフトの歴史は「正しい層」を探す歴史でした

初期のフェイスリフトは皮膚だけを引っ張る手術でした。結果は予想どおり — 張るけれど不自然で、長持ちしません。皮膚は顔を支える構造ではなくカバーだからです。

1970年代に皮膚の下の筋膜層、SMAS(表在性筋膜系)が報告され、状況が変わります。垂れ下がる主体は皮膚ではなくこの層。以後、現代のリフトはすべて「SMASをどう扱うか」という一つの問いへの答えです。

SMASリフト — 標準になった理由と、その限界

古典的なSMASリフトは、皮膚を剥離した後、露出した筋膜を折り重ねて縫う(プリケーション)か、一部を切除して引き寄せて縫合します(SMAS切除術)。皮膚だけの時代よりはるかに安定した結果を出し、今も広く行われているのには理由があります。

限界は別のところにあります。顔の組織は支持靭帯(retaining ligaments)という強い構造で骨に固定されていますが、古典的なSMAS法の多くはこの靭帯を残したまま、靭帯の上から引っ張ります。力が靭帯に阻まれてほうれい線や中顔面まで届かず、その分、縫合部に強い張力をかけることになります。張力こそ、不自然な印象と傷跡が広がる最大の原因です。

ディープレーン — 靭帯を解除し、ひとつの塊として動かす

ディープレーンはSMASのの層に入ります。この層は大きな血管が通らない無血管面(avascular plane)で、出血や内出血が少なく、顔面神経の枝との位置関係が解剖学的に一定しているため、安全に剥離できる空間です。

核心は層そのものではなく靭帯です。ディープレーン剥離の目的は、組織をつかんでいる支持靭帯を直接解除すること。抵抗がなくなれば強く引く必要はありません — 皮膚と筋膜を分けずひとつの複合体(composite)として、元あった位置へ戻すだけです。表面にほとんど張力がかからないため、「引っ張った顔」ではなく「数年前の位置」に近い印象になります。

私の方法 — 拡張ディープレーンとデッドスペース管理

私は拡張ディープレーン(extended deep plane)テクニックで手術しています。剥離範囲を靭帯の境界を越えて — ほうれい線部の中顔面、さらに首の広頸筋(platysma)まで — ひと続きの面として拡張します。顔と首を別々にではなく顔〜フェイスライン〜首をひとつの単位として再配置するため、フェイスラインと首のラインが一緒に整います。

そして手術の最後に時間をかけるのがデッドスペース(死腔)の最小化です。剥離でできた隙間をそのまま閉じると、そこに体液や血液が溜まります — 腫れが長引き、血腫リスクが上がる理由です。内部固定縫合で剥離面をしっかり密着させ、この空間自体をなくします。

無血管面での剥離とデッドスペース管理が重なると、腫れ・内出血は少なめで、回復が早い傾向があります。抜糸をする12日目に思ったより腫れていないと驚かれる方が多いです。 もちろん回復速度には個人差があります。

ひと目で比較

SMASリフトディープレーン
剥離層筋膜の上で操作筋膜下の無血管面
支持靭帯ほぼ温存 — 力が阻まれる直接解除 — 抵抗なく移動
必要な張力比較的高い低い(塊ごと移動)
腫れ・内出血中程度少なめ(無血管面・死腔管理)
印象張り感が残ることも位置が戻った自然さ

もちろん、ディープレーンがすべての方の正解ではありません。たるみの程度、組織の状態、既往手術によって計画は変わり、より深い層を扱う分、執刀医の解剖学的な熟練が前提になります。

カウンセリングで確認すべき3つのこと

術式の名前はクリニックごとに違います。名前の代わりに、この3つを質問してください — 手術の実体が見えてきます。

  • どの層を剥離するのか — 皮下か、筋膜下か
  • 支持靭帯を直接解除するのか
  • 死腔と腫れの管理をどうするのか — 剥離した空間をどう閉じるのか

手術の詳細はフェイスリフトのページに、費用が決まる仕組みはこちらの記事にまとめています。WhatsAppでお写真を数枚お送りいただければ、どのアプローチが合うか遠隔で判断いたします。

※ 手術方法と回復経過には個人差があります。

ユ・ヨンギ 院長 · ROI美容外科 代表院長
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